Project story プロジェクトストーリー 02

PROJECT STORY 02

生成AIでビジネスの未来を切り開く
NX-Brainの挑戦

NXグループ専用の生成AIサービスとして開発され、急速に活用が広がっている「NX-Brain」。その開発の狙いと背景、そして未来への展望について、プロジェクトメンバー3人に話を聞きました。

Member
  • 井上 恵太

    アプリケーションデリバリ部/
    2004年入社

  • 熊川 遼太郎

    アプリケーションデリバリ部/
    2017年入社

  • 石井 優行

    アプリケーションデリバリ部/
    2021年入社

自社専用生成AIで、情報漏洩リスクからNXグループを守る プロジェクトの概要を教えてください。

  • 井上

    NXグループ専用の生成AIサービス「NX-Brain」を開発・運用・利用促進するプロジェクトです。プロジェクトは2023年7月からスタート。同年9月に、まずはグループ内の3社(NIPPON EXPRESSホールディングス、日本通運、NXキャッシュ・ロジスティクス)の従業員を対象にNX-Brainの利用を開始しました。以来、グループ会社へと順調に対象を広げ、2025年8月現在、グループ内38社で導入されるに至っています。
    プロジェクトチームは、スタート時は私一人でしたが、NX-Brainの導入・活用が進むとともにメンバーが増強され、現在は約13名のメンバーが一丸となって取り組んでいます。

プロジェクトの目的は?

  • 井上

    目覚ましいスピードで進化を遂げる生成AIは業務効率を飛躍的に高め、働き方を根本から変える可能性を秘めた革新的な技術です。近年では、生成AIの自然言語処理や画像生成の精度は大幅に向上し、社内業務で使えるレベルに達しました。すでにあらゆる分野で活用が勧められており、多くの企業が業務に生成AIを導入しています。NXグループでも生成AIの可能性に早くから注目していましたし、2023年ごろには社員の一部が自主的に外部の生成AIサービスを業務に活用する動きも出ていました。しかし、外部の生成AIサービスは情報漏洩という、企業にとって非常に重大なリスクも孕んでいます。加えて外部の生成AIは汎用的で一般知識には強いものの、各業界・各社固有のルールや業務知識には十分に対応できません。そこでNXグループでは、安全性を確保しつつ業務に最適化した環境で生成AIを活用できる環境を整えるべく、自社専用の生成AI「NX-Brain」を開発・導入することを決断しました。

アジャイル開発で実現した、「ユーザーに喜ばれる生成AI」 開発はどのように行われたのでしょうか?

  • 井上

    生成AIは、とても進化の早い技術です。新しい機能や使い方が次々に登場するため、最初に大きな計画を立てて一気に作り上げる「ウォーターフォール型」の開発では、完成した頃にはすでに古くなってしまう可能性があります。
    また、生成AIは「実際に使ってみないと分からないこと」が多いのも特徴です。ユーザーがどの機能を便利と感じるか、どんな課題が出てくるかは、開発を進めながら見えてくることがほとんどです。
    そのため、本プロジェクトでは短いサイクルで「試作→テスト→改善」を繰り返す「アジャイル開発」を採用しました。まず基本的な機能のみを提供し、実際に使ってもらった上でフィードバックを反映しながら進めることで、より使いやすく、安心して利用できるサービスに育てています。

皆さんは、それぞれ本プロジェクトでどのような役割を果たしていますか?

  • 熊川

    私はもともと航空部門の業務システムを担当していました。本プロジェクトに参画したのは、当時の上司に「やってみないか」と声をかけられたのがきっかけです。私自身、業務で外部の生成AIサービスを使うことのリスクを懸念していましたので、喜んで参画させてもらうことにしました。参画から約1年が経ち、現在は現場のリーダーとしてプロジェクトの進行管理を担当しています。自分自身が手を動かして開発を行うだけでなく、チームメンバーとアイデアや意見を交換したり、グループ内の各社からの要望をヒアリングする業務も担当しています。

  • 石井

    私も上司からの声掛けで、本プロジェクトを知りました。当時はアプリ開発のチームに所属していたのですが、技術者として常に最新の技術に挑戦し続けたいという気持ちから、本プロジェクトへの参画を決めました。現在は主にグループ内各社からのリクエストに応じて部署ごと、プロジェクトごとに特化したアプリケーションの企画・開発に取り組んでいます。「NX-Brain」の開発はグループ全体からの注目度が高い業務で、他部署やグループ内の他企業とのやりとりも多く、以前よりも自分の目の前の仕事をより俯瞰的に見られるようになってきました。

  • 井上

    私はプロジェクトの立ち上げを担当、現在はプロジェクトマネージャーを務めています。生成AIはまだ進化の途中にある技術で、明確な「正解」があるわけではありません。だからこそ、まずはやってみることを大切に、チームメンバーが失敗を恐れず挑戦できる環境を整えるのが私の役割です。自由な発想を歓迎し、関係者と協力しながら前に進めています。

NX-Brainは現在、どの程度、活用されているのでしょうか?

  • 熊川

    期待以上のペースで活用が広がっています。私が着任した昨年2024年はユーザー数が3500人強、利用回数が8万1000回程度だったのですが、今年は7月の時点ですでにユーザー数が9,600人、利用回数は51万回を超えました。NX-Brain自体の精度が上がったのと同時に、実際に業務に活用した社員の皆さんが「使ってみたらすごく便利だった」と口コミが広がったのが、急拡大の理由だと分析しています。引き続き、各部門のニーズに応える業務特化型アプリ=成功事例を作って社内に紹介し、他の部門からアイデアを引き出す好循環を作っていきたいです。

  • 石井

    最近は嬉しいことに、ユーザーの方から「すごく便利になったよ。これからも期待していますね」「以前は何時間もかかっていた作業が数分でできるようになって、助かっている」とお声がけいただくことも増えました。特に高く評価されているのが、PDFの読み取り機能とExcelの出力機能です。もともとNX-Brainは入力系の機能は充実していたものの、出力系の機能は弱く、現場からの要望に応える形で少しずつ強化してきました。だからこそ、こうしてユーザーの皆さんに喜んでいただけるのは、開発者の一人として本当に嬉しい瞬間です。

  • 熊川

    一方で、生成AIを使いこなせる人と、そうでない人との間に格差が広がりつつあるのも事実です。生成AIを使いこなすには、プロンプトエンジニアリング(適切な指示文の作り方)が重要ですが、まだ十分に使いこなせていない方も少なくありません。そこで当チームでは、生成AIサービスを提供するだけでなく、社員向けの講習会を定期的に開催し、プロンプトエンジニアリングの教育にも力を入れています。今後はeラーニング教材なども整備して、幅広く生成AIについて学べる場を提供していきたいと考えています。

  • 井上

    生成AIの真の目的は、単なる業務改善にとどまりません。効率化やコスト削減は導入初期の成果にすぎず、真価は働き方そのものを変え、社員がより創造的な業務に専念できる環境を実現することにあります。さらに、人だけでは生み出せなかった発想を引き出し、新規ビジネスやサービス創出の可能性を広げます。私たちは、この「未来をつくる力」としての生成AIの価値を、ユーザーの皆さまに積極的に発信していきます。

失敗を恐れず、挑戦し続けることに意義がある どんな時にやりがいを感じますか?

  • 石井

    生成AIをアプリケーションに実装する際には、ユーザー体験をどのように設計するか、そして業務フローにどう効果的に組み込むかといった視点での検討が欠かせません。技術的な挑戦が多い一方で、完成した際の価値やインパクトを実感できるのは非常にやりがいがあります。特に、社内外から注目を集めるプロジェクトに関わることができ、光栄に思います。この貴重な経験を今後4年後、5年後のキャリアに活かし、さらに成長できるよう全力で取り組んでいきたいと考えています。

  • 熊川

    現場リーダーとしてチームを率いる面白さは、仲間と一緒に"まだ見たことのないもの"を形にしていけることです。試行錯誤しながら、ユーザーの課題にどう応えられるかを議論し、実装し、フィードバックを受けて進化させる。そんな小さな改善の積み重ねが、働き方や組織を変えていきます。その瞬間に立ち会えるのが、この仕事の一番の醍醐味だと思っています。

  • 井上

    このプロジェクトで最もやりがいを感じるのは、若手メンバーが日々成長していく姿を間近で見られることです。彼らが技術的なスキルだけでなく、問題解決能力やチームワークを発揮してどんどん成長していく様子は、非常に刺激的です。自分が関わったことで、次世代のリーダーが育っていくのを実感できることが、何よりの喜びです。

これからどんな人と一緒に働きたいですか?入社を検討している人へのメッセージもお願いします。

  • 石井

    しっかり話し合いながら前に進める人です。生成AIの開発では正解がひとつではなく、議論しながら方向性を見つける場面が多く、一定のコミュニケーション力は求められます。とはいえ、最初から話すのが得意である必要はありません。会議や打ち合わせで意見を求められるうちに、自然と話すスキルは身についていきます。その中で自分の考えを伝え、チームと共に成長していく喜びをきっと感じられるはずです。

  • 熊川

    変化を楽しみながら挑戦できる人です。生成AIのプロジェクトは、正解が決まっていないことが多く、日々試行錯誤の連続です。だからこそ、失敗を恐れずにトライし、そこから学びながら成長していける方と、一緒に前へ進んでいきたいと考えています。

  • 井上

    本プロジェクトは登山に例えるとまだ4合目を過ぎたあたり。つまり、まだまだ挑戦のフィールドも成長の余地も残っています。むしろ、ここからが本番ですから、挑戦を楽しめる人と一緒に働きたいと考えています。生成AIなしにこれからのビジネスは語れません。私たちが今手掛けているこのプロジェクトは、まさにその未来を形にしていく重要な一歩です。技術が進化し、社会が変わる中で、私たちはその先端を走り続けています。一緒に新しい価値を創造し、未来を切り開いていく仲間をお待ちしています。