新技術を駆使した業務効率化で現場に喜んでもらう、
それがITの仕事の大きなやりがい
国際貿易に関係する仕事をするのが夢で、物流で貿易を支える仕事ができる点に惹かれて日本通運に入社しました。配属はIT推進部。営業職を志望していたため予想外でしたが、システム関連の業務は、進め方次第ではお客さまほか社外のステークホルダーとの接点が多い仕事。私も、例えばシステムのご提案やカスタマイズ、アフターケアなどを通じて、時には営業職よりもお客さまと近い立ち位置で接することで強固な人間関係を築くことができ、働くうちにITの仕事に魅力を感じていきました。
ITの仕事の大きな醍醐味は、次々に登場する新技術を使って仕事ができること。技術の進化が目まぐるしいので覚えることが多くて大変ではありますが、目に見えて業務を効率化でき、現場の皆さんに喜んでいただけるので、やりがいは大きいですね。
2018年からは、RPA(Robotic Process Automation )、簡単に言うと、パソコン上の作業をロボットの力で自動化するソフトウェアの開発を手掛けています。RPA導入の狙いは、生産性の向上。自動化によってルーチンワークにかかる時間を減らし、営業やマーケティングなど人間にしかできない本質的な業務に充てる時間を増やすことを目指しました。
まずは2018年3月から「UiPath」というRPAツールを使って、航空部門などで、PoC(概念実証。新しいアイデアや概念について実現可能性を検証すること)をスタート。2018年10月までに基盤構築を終え、その後は「2020年3月までに削減効果約40万時間/年」という目標に向かってRPAの内製化を進める計画が立てられました。
RPAで業務時間を年間220万時間分も削減

しかし、当時そのPoCの担当者は国際航空業務の知識が乏しかったため、スムーズには進捗しませんでした。そこで、たまたま業務経験のある私に声がかかり、2018年7月にプロジェクトに参画することになりました。これもまったく予想外の業務で、声を掛けられた時点では「RPAってなんだっけ?」というレベルでしたが、ともかく走りながら学ぶことに。2020年3月末までに削減効果40万時間という大きな目標を達成するために、いくつかのプロジェクト方針を作りました。自動化の依頼をいただいた課所全てに個別のRPAを導入するのではなく、①なるべく多くの課所で実施している業務に狙いを定める、②業務手順/運用ルール/フォーマットなどを標準化した上でRPA化する、③パイロット店で導入したロボットを横展開化させるなどを立案・実行したところ、目標の「-40万時間/年」には届きませんでしたが、「-34万時間/年」の作業時間削減に成功しました。その後も紆余曲折と改善を重ね、現在では「-220万時間/年」を達成しています。改めて振り返ると、とても大変な取り組みではありましたが、数字上の削減効果だけでなく、現場の皆さんから「本来やりたい仕事に集中できるようになった」、「ミスができない業務のプレッシャーから解放された」などの声をいただくことができて大変嬉しく、大きなやりがいを感じているところです。
今後は一部の小規模案件から順次内製化できる体制を整えるべく、社内教育に着手しています。従来は要件定義/設計・開発・テスト/導入/保守をすべて私たちIT担当者が行ってきましたが、ユーザ開発基盤を構築して、各部門の(非IT担当の)社員がRPAを開発できる仕組みを整えました。
新領域への挑戦を恐れず、持続可能な物流の実現を目指す
2024年1月からはNX情報システムに出向し、アプリケーションデリバリ部に所属。引き続きRPAプロジェクトに参画しつつ、NXグループ内で使われる様々なシステムの開発や運用に携わってきました。現在、特に力を入れているのは生成AIの活用です。2023年9月にはマイクロソフトのAzure Open AIを活用したサービスをスタート。今後は、NX独自の社内データを踏まえて回答したり、有効回答を導きやすくするプリセットプロンプトの導入を進めていく予定です。
RPAも生成AIも自動化や省力化が直接的な目的ではありますが、物流業界はもちろん日本全体が少子高齢化や人口減少による労働力不足に直面していることを鑑みると、日本通運グループの事業の継続に非常に大きな影響を及ぼす取り組みだと言えます。引き続き、RPAや生成AIなど新領域に積極的に挑戦していくことで持続可能な物流の実現に貢献していきたいですね。

ニーズの先読み&提案型開発でグループの課題解決に貢献
折しも、2024年には日本通運のIT推進部とNX情報システムが統合したことで、よりグループ全体の将来を見据えたIT戦略が求められるようになりました。これまでは、日本通運からの依頼でシステム開発や運用をするケースがメインでしたが、今後はNX情報システム自らグループ内の課題やニーズを見出して、効果的な解決策を提案する新たな流れを作って定着させたいと思っています。
しばらくはITの分野で挑戦する日々が続くと思いますが、将来的には人材の育成やマネジメントにも関わるのが目標。自分自身がIT未経験からここまで成長できた経験を活かして、社員の成長を会社の成長、グループの成長に繋いでいく役割にも挑戦したいと考えています。
井上さんの
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